名古屋・清水口の美宝堂でございます。 [愛知県 名古屋市 東区 白壁4-1]
 [ロレックス裏話 11〜20] こちらをクリック!
小学校3年生で修理を習い
5年生では店頭で時計を売っていた・・・
業界で育って49年
輸入時計の業界なら
裏も表も知り尽くした
美宝堂の専務が明かす


ロレックス裏話
全99話の
はじまり、はじまり・・・・・・
1.ロレックスか
   ローレックスか?


今から十五年ほど前、テレビCMを作って
いる時に迷ったんです。何と言って発音した
らいいのか?

 それまでは、誰もが「ローレックス」と伸
ばして呼んでいたんです。別に不思議にも思
わないでいた。
 確かに「回る=ROLL」と「無限を意味
するEX」を混ぜ合わせてROLEXなんだ
と講習会などでは習ってたわけで、それから
すれば「ローレックス」と伸ばすのが正しい
ことになる。
 でも、印刷物などの日本語ロゴは「ロレッ
クス」と伸ばさない形になっている。

 さてどっちを使うべきか?
 どっが正しいのか?

 私どもは、当時ロレックスの正規代理店で
したから、聞いたわけです・・・・「誰か知
らないか」って。でも誰もはっきり答えられ
る者がいなかった。あーだ・こーだの挙げ句
結局どっちでもいいと言う事だったと覚えて
ます。ようするに決め手がないのだと。

 それじゃ外国ではどうか?ということにな
った。外国人の発音を聞いたら、何となく詰
まった言い方をしているようだと・・・。
 確か、当時のスイス人の社長も「ロレック
ス」と発音していたように覚えています。

 そこで、CMでは「ロレックス」と言った
わけです。何となく他店とは違った感じが出
せて差別化できるメリットもあり、おまけに
ちょっと専門家っぽい・・・。

 それまでは、誰でも「ローレックス」。そ
こへ「ロレックス」とやったわけで、それは
ものすごい反響がありました。
 「貴方のとこで売っているのはローレック
スじゃないの?」なんてのは日常茶飯事。
「ロレックはローレックスの偽物」なんて言
うひどい人まで。

ところが、結果はというとすぐに「ロレッ
クス」という発音が一般的になって、誰も彼
もが短く詰めて呼ぶようになりました。
 そうでしょう。毎日のようにテレビで「ロ
レックス」と叫んでるわけですから。
 今では子供達まで「ロレックス」という。
ウチの社長のを「ロレックスおじさん」なん
ていう・・・。
 もっとも、これ、東海地方だけの特殊な現
象かもしれないです。私どものCMが放送さ
れている所に限ってかもしれませんね。

 実際に今でも東京・大阪では伸ばす言い方
のほうが多いらしい。一般的なのはやはり、
「ローレックス」という言い方なんでしょう
ね。
 テレビの影響って凄いものがありますね。
美宝堂のCMが流れているところは、子供ま
でが「ロレックス」と発音する!いや、たい
したもんです。

 実のところ、自分自身でも時々混ざって使
っている。気づかないで「ローレックス」と
言ってる場合もあります。 
 いや、オフィシャルな場合は、短く「ロレ
ックス」と発音する事にしてます、もちろん
ですが・・・。
 

2.王冠マークは五本の指

 ロレックスのマークは王様の冠ということ
は誰でも知ってると思います。如何にも、時
計の王様といった感じがして、実に相応しい
マークだと思いませんか。
 でも、このマークには、もう一つの意味が
あるの知っていました?
 実は、この王冠の五つの尖りは、時計職人
の五本の指を表すといわれているんです。
 クラフトマンの誇りというか職人魂という
か、所謂、技術者が作った時計であるという
ところでしょう。

 確かに、ロレックスという会社は、完全防
水のオイスターケースにしろ、自動巻のパー
ペチュアル機構にしろ自社で完成させた技術
屋さん。
 当然、数々の特許も取得しているわけで、
「其処らの軟弱な宝石店の作るデザインだけ
の時計と違う!」と言いたいんでしょう。

 まさに、このことを象徴するようにロレッ
クスは故障が少ない。壊れないんです。全く
丈夫なんです。
 いくら丈夫でも、そりゃあ時には壊れると
きもありますよ。でも、修復が可能。つまり
何十年経ったような時計でも修理が出来ると
いうこと。

 「修理が出来るぐらい当たり前じゃ」と思
うでしょう。でも違う。市場に出回っている
時計で、二十年以上使って壊れた時に修理が
出来る時計は、極めて少ない。
 だから、ロレックスは修理をしてくれると
ころで買わなきゃだめ。技術屋のいない店で
は買っちゃダメ。
 最近では、時計ブームで猫も杓子も機械時
計!みんないっぱしの技術屋気取り。でも、
ロレックスの裏蓋を開けたことのない者の方
が多い。
 だって特殊な工具がいるんですから。まし
て、聞きかじったような者が蓋を開けたらも
っと大変。実際、素人が機械をいじって壊し
てしまう事が、最近多発している。時計ブー
ムも善し悪しです。

技術屋の誇りは、ファッションじゃないと
いうことでしょうか・・・。

3.偽物より恐い中古再生品

 コピー商品が知的所有権の侵害になるから
禁止されて久しい。外国の街角以外ではなか
なか見なくなったと思ったら、また次の問題
が発生。
 それが、中古の時計を再生して新品に見せ
る、所謂、中古再生品。
近頃の若者は、思いついた途端に買って、
飽きたらすぐに売っちゃう傾向が強い。昔な
ら質屋といったところが、今は買い取り業者
が軒を並べて、売り先に事を欠かない。
 中には、ローン中に売っちゃう者もいる始
末。こりゃ問題があります。
 そんなロレックスが、市場に出回る。中に
は、キズの少ない中古品もあり、それを仕上
げ直しして新品として販売しているものも有
ると聞きます。業者の中には知らずに売って
いる者もいる状態。
 確かに、値段が安くて飛びつきたくなるの
ですが、ちょっと待って。危険ですよ。
 あくまでも、中古品。どんな使い方をして
いたか全く不明。つまり、どんな不具合が隠
れているか解らないんですから。
ロレックス位の高級品になれば、一生の愛
用品。そんな簡単に飽ちゃたまらない。一生
大事に使って頂きたいと思います。

4.元祖十年保証は美宝堂

 いくら丈夫なロレックスでも、機械ですか
ら。毎日二十四時間休み無く動き続ければ壊
れてもしようがない。
 まして、丈夫だからと過酷な使い方をして
いる方もあるわけで、これは時計にとって大
変なこと。当然、故障の原因となるのは明ら
か。
 でも、人間は誰でも、自分が一番普通だと
思っているわけで、たとえ過酷な使い方をし
ていても、そうは思っていない。
 時計を掃除しないっていうのもその一つ。
汗と垢がこびりついているような時計が実に
多いんです。たまには、洗ったり拭いたりし
て、掃除をしなけりゃね。でも、普通はしな
い人多いです。
 こういったことも故障の原因になる。落と
したり、ぶつけたりすることも良くない。 
こうして故障が起これば、修理が必要。と
ころが、通常の時計の保証はこうした使い方
に起因する故障は対象外。
つまり有料になるわけです。「何で普通に使
っていて故障したのに保証が無いのか」って
必ず言われる。仕方がないんです。そういう
決まり。 まして、一年の保証期間中に壊れ
れば、使い方に原因があるのは当然。
 でも、納得できないでしょう。そう、思い
ます私も。

 そこで、私どもでは、保証期間を十年間に
したんです。

 当然、普通に使っていて壊れたら無料で修
理をする。そりゃ落としてガラスが割れたり
しちゃその分はお金がいりますが、それ以外
は殆ど無料。だから他のお店の保証とはわけ
が違う。私どもは五十年も時計売っているん
ですから、専門店の心意気っていうとこでし
ょうか。
 そもそも、時計に十年間の保証を付けたの
も、私どもが元祖。もう、既に十年以上前の
こと。始めたころは賛否両論、今では大変。
 なにしろ、簡単な修理でも二〜三万円、大
修理になったら十万円以上もするわけですか
ら。
 美宝堂のロレックスは十年保証なんて、簡
単に言っているようですが、実は結構大変な
んです。
 半分意地を張っているようなもんです。

5.ロレックスは労働者の時計

 今から二十数年程前の事。

 当時、腕時計は薄型が主流となっていまし
た。厚さ2ミリなどという極薄の時計もあっ
た時代でした。 
 薄型競争が激化して、終いには、腕に付け
ていて一寸と力を入れるとケースがバラバラ
に壊れてしまうような柔な時計も出現したも
のです。それほど薄型人気が過熱していたと
言うわけですね。
 そのころ、ロレックスはというと、今とほ
とんど変わらない「厚型」。全く人気がなか
った。それどころか、お客様の中には「こん
な重い時計をしたら腕が折れる!」などと言
う方もいた。それほど時代に合っていなかっ
たのです。

 当然、全く売れない品。当時、オメガ・ロ
ンジン等のペラペラな薄型時計が、商品供給
が足りない程売れていた状況を横目で見なが
ら、ロレックスはまるでダメ。たまにお客様
がいても実際に腕にした途端、「こんな分厚
い時計だと思わなかった。かっこ悪い!」

 時計業界でも、ロレックスなんか販売して
いる物好きは私どもくらいのもの。孤軍奮闘
しておりました。ロレックス社からも随分お
誉めの言葉を頂戴したものでした。
 そこで、この売れないロレックスを売るた
めの広告に、「ロレックスは労働者の時計で
す」というコピーを作ったわけです。
 自慢じゃないが、これは私どもが自費で打
った広告。ロレックス社からは1円ももらっ
ていません。(少しは感謝して欲しい!)

 確かに、世界の最高級ブランドと言われる
パテック・フィリップやバセロン・コンスタ
ンチン等が貴族のための宝飾時計からスター
トしたのに対して、ロレックスは純然たる実
用時計として生まれた訳で、その意味からす
れば「働く者のため=労働者のための時計」
と言っても間違いではない。自動巻・カレン
ダー・100m防水・・・実際に丈夫で実用
的なパートナーであります。

さて、前述の広告の結果といえば、今の状
況を見れば一目瞭然。押しも押されもしない
堂々の第一位。二位以下を引き離すぶっちぎ
り状態。
 誰も「分厚い」だとか「重い」だとか言わ
ない。それどころか「デザインがいい」とか
「ファッショナブル」とか賞賛の声。全くい
い加減なものです。
 あれから二十有余年。ロレックスがこんな
に流行るなんて、正直言って思わなかったで
すね。
 他のブランドが、どんどん変化しても、頑
なに守り続けたもの。それが評価されている
のでしょうか。

6.ロレックスは自動巻

 時計が動くには何らかの動力がいる。現在
最も一般的なものはクォーツなどの電池を駆
動力とする電気時計。
 それに対し、ゼンマイと呼ばれる金属片の
反発力を利用したものを機械式時計と呼んで
います。
 一般に、機械式時計は巻き上げられたゼン
マイが元に戻ろうとする力を利用しているの
で、そのゼンマイを巻き上げてやる必要があ
ります。これを手動で行うものを「手巻き」
と言い、腕に付けているだけで、自動的に巻
き上げるものを「自動巻」と呼んでいます。

つまり電池がいらない。電池交換の費用や
手間は全くかからない。省エネ時代に相応し
い時計だが欠点もあります。

 腕に付けていないと止まってしまう。
 
 いや例え毎日腕に付けていても、動きが少
ない年輩者では、やはり巻き上げられないの
で、止まってしまう。

 自動巻は、機械の中にローターと呼ばれる
円盤状の部品があり、これが手の動きにより
回転運動を起こし、歯車の伝達によってゼン
マイを巻き上げる仕組み。
 つまり円盤が回転するためには、腕の動き
が必要というわけであります。

 概ね、ロレックスの自動巻は巻き上げが良
く、だいたい一日8時間位付けていただけれ
ば24時間動き続ける事ができます。
 しかし、それは普通の生活をしている限り
の場合。
 一日に数十分乃至数時間も遅れるなどとい
う修理依頼はほとんどがこの巻き上げ不足が
原因であります。
 これはもう、生活を改善していただくしか
方法がない。いや、むしろ、ロレックスの自
動巻が止まってしまうほど動かないことは、
健康のために良くない事なのです。
 言ってみれば、ロレックスの自動巻は健康
維持のバロメーターなのであります。

7.クロノメーターでも日差十秒

 ロレックスの殆どのモデルが、クロノメー
ター規格に認定されている機械を搭載してい
ます。
 これは、スイスのクロノメーター協会が、
適正な精度を示すものに認定を与えるもので
この検査をパスしたものだけが公式クロノメ
ーターと表示することができる。
 ロレックスの中級以上のモデルには、文字
板にクロノメーター認定の表示が堂々と書か
れています。
 このクロノメーター認定の規格では、様々
な環境下、日差で、マイナス一秒からプラス
十秒という精度が要求されています。
 しかし、最近のクォーツ式の時計では、例
え数千円の安物ですら、月差(つまり一ヶ月
の誤差)が数秒であり、日差(一日の誤差)
十秒のロレックスと比較すれば、断然精度に
違いがあるわけです。

さて、この一日十秒以内の誤差が積もり積
もれば、一週間で七十秒、一ヶ月で三百秒つ
まり五分という誤差を生じてしまう。
(もっとも、機械式の時計には、姿勢差と復
元力とがあり単純に倍数にはならず、予想さ
れる誤差よりは遙かに少ない場合が多いので
すが・・・)
 それにしても、クロノメーターと呼ばれる
高精度な機械が、誤差という点では安価なク
ォーツに及ばないというのは如何なものか。

 しかし、現在の時計の趨勢はクォーツ派が
衰退し、機械式派が猛烈な増加を示している
情勢でありまして、ロレックス等の機械式の
時計が高価な割に売れるのです。
それは何故か?・・・答えは一点に尽きま
す。つまり、信頼感が違う。それはもう圧倒
的に違うのであります。
 電池が切れれば突然止まってしまうクォー
ツ。電池寿命とは関係なく原因不明で電池が
切れてしまった・・・なんて経験お有りでし
ょう。
それに引き替え、ネジさえ巻いておけば多
少の誤差は有るものの、止まらず動き続ける
機械式の信頼性は、特に過酷な環境で生きて
くるわけです。ダイバーやフライト用の特殊
時計が機械式なのはプロの要請なのです。
 大事な用件の時に時計が止まっていては話
にならない。一分や二分の誤差など問題では
ないのかもしれない。 
 
8.新型のロレックス

 近々男性用の金無垢モデルとクロノグラフ
のデイトナが新しくモデルチェンジするらし
い。
 と言っても、大きく変わるというわけでは
ない。むしろ見た目には何も変わっていない
としか思えないほどの変化なのであります。
 機械内部と外観の一部が変えられて新型ロ
レックスが登場する。
 これまでのロレックスの歴史の中で、この
ような変化は絶えず行われてきた。何時まで
も変わらないロレックスではなく、変わって
も気づかないほどのロレックスなのです。

例えば「プラスチックの風防」が「合成サ
ファイアガラス」になったり、「パイプ状の
作りであった鎖バンド」が「ムク材を使用し
たブレスレット」になったり、という大幅な
変更をされたものもあれば、「ブレスレット
の留め金の位置が数ミリ移動しただけ」など
という微細な変更まで含め枚挙に暇がない。

 でも、概してマイナーな進化であります。

二十年位隔てたモデルを較べれば、まるで
違った時計なのに、3〜4年前の物とは何処
がどう違うのか解らない。まして、機械内部
の変更は見当もつかない。

 しかし、これこそがロレックスの真骨頂な
のだと言うことに気付いて欲しいのです。

 昔に買ったお客様に古さを感じさせること
なく、且つ、今買うお客様には、絶えず最新
のテクノロジーで進化し続けること。
 これは、他のどのブランドも為し得ない究
極の顧客サービスであります。

しかし、ロレックス社は、いささか狡い手
を使う・・・。新型の発売の前には、旧型が
市場から消え去る。つまり生産調整を行い、
市場が枯渇したところで一気に新型発売をす
る。当然、待ちこがれていた消費者はこぞっ
て買い求めるという具合なのであります。
はてさて、今回もこの作戦は功を奏します
やら?
 市場では早くも旧型が姿を消した・・・。

9.デイトナがダメだった頃

 今から三十年位前の事。コスモグラフ・デ
イトナは、はっきり言って「ダメ」な時計で
した。
 デイトナとは、今をときめくプレミア価格
の王者。ストップウォッチ機能付きの、あの
デイトナであります。
 当時は、デイトナという愛称より「コスモ
グラフ」という名前の方が一般的でありまし
た。
 この時計は、ストップウォッチの機能が付
いている時計としては唯一の完全防水機構を
誇っていました。
 ロレックスの完全防水機構は、二重にロッ
クされるリュウズが基本である事は言うまで
もないが、コスモグラフに於いては、二つの
プッシュボタン(スタート・ストップとリセ
ット)までも、二重のロック機構を装備して
います。
 それまでのストップウォッチ機能付きの時
計では、うっかり水中でプッシュボタンを押
したために、内部に水が入ってしまう事があ
りました。しかし、ロレックスでは二重ロッ
ク機構を付け、通常はねじ込み式のボタンを
ロックして動かせなくしてしまったのであり
ました。
ここまでは完璧でした。が、しかし、機械
がお粗末であったのです。
 ストップウォッチを止めて0に戻す際に、
リセットボタンを押しても0に戻らない故障
が多発したのであります。
 つまり、0に戻そうとリセットボタンを押
すと、戻る際の弾みで針が2〜3秒行き過ぎ
てしまう。ようするに次の計測の際に0秒か
らスタート出来ないのであります。
 これは、針の穴のゆるみから引き起こる不
良で、針を交換したりしても、すぐに元に戻
ってしまう状態でした。
 言ってみれば、使えない機能が付いた「お
馬鹿な」時計だったのであります。
 アメリカの航空宇宙局(NASA)が公式
時計にオメガスピードマスターを選んだのも
この頃だと思う。

 その後三十余年。コスモグラフは自動巻と
なり、機械内部も進化した。今や不良個所が
殆ど無くなって完成された時計となり、愛称
のデイトナで呼ばれるようになりました。

そして、定価六十五万円のステンレスモデ
ルが、なんと百万円を超えるようなプレミア
価格が付いてしまったのです。
 生産が需要に追いつかないのが原因ですが
それでも欲しい若者が後を絶たない。
 今では、三十年前のあの「お馬鹿な」コス
モグラフすら中古市場では高値で取り引きさ
れているといいます。
 いやはや全く世の中の移り変わりは凄いも
のであります。


10.GMTマスターをコンパスに

 経度0度、イギリスのグリニッジ天文台の
時間が世界の標準時と決められている。
グリニッジ・ミーン・タイム=GMT=世
界標準時ということであります。

 この世界標準時を愛称とした時計がロレッ
クスGMTマスターです。通常の長短針に加
え二十四時間で一周する針と回転ベゼルによ
って、同時に2カ所の地域の時刻を表示する
ことが出来る時計なのです。
昔のカタログには「パン・アメリカン航空
機長標準装備品」(懐かしいですね!)と書
いてある通り、パイロットなどの世界を飛び
回る職業の人々に愛用されております。

 さて、この時計、実はコンパス(磁石)の
役目も果たすのです。曰く。時計の短針を太
陽の方角へ向けると、二十四時間針が「北」
を指す機能が付いているのです。この北を指
すのは北半球の場合で、南半球では南を指す
わけです。
例えば、昼の十二時に、太陽の方角へ短針
を向けると、短針の位置は十二時。そのまま
赤い二十四時間を見ると六時の位置にある、
つまり六時が真北となるわけです。
(二十四時間で一周するので・・・)

 太陽は昼の十二時は南中、つまり真南にあ
るわけで、その反対の六時が真北となるのは
当然です。なーんだそんなこと、思われる事
でしょう。そんなの時計が無くたって太陽見
れば解ると思うでしょうが、いやこれが結構
便利で役に立つものです。
 午前十時とか、午後三時とかの太陽の位置
を正しく把握している人なんて滅多にいない
ものです。
 正確に真北と言うわけには行きませんが、
およその事はあたっています。海外旅行の町
なかで道に迷ったときなんか、実に役立つ物
です。

 さて、このGMTマスターに「U」という
モデルがあります。リュウズを回すと、通常
の長針を動かすモード以外に短針のみ独自に
動かす事が出来る物で、これは、通常の長短
針と二十四時間針、回転ベゼルの組み合わせ
で、同時に三カ所の異なる地域の時間を表示
できる時計です。
しかし、これはセットが結構難しくて実際
に使える人は少ないと思います。別に使わな
きゃいいんですが・・・。
[2000.7〜2002.4. 新聞連載]